★爺の願い*1


大阪府指定の天然記念物の国松むら春日神社の椎の木よ
樹齢四百年余りというあなたは、今日までの歳月、とても沢山の光景を見てもきたしいろいろなことも聞いてもこられたでしょうね。今あるわが国の基になっているものが何であるかをしいかりと見据えてもこれれたのでしょうね。
慶長には大きな地震があったそうですが、もうこの世に生を受けておられたのですか。
戊辰戦争鳥羽伏見の戦いでの落武者が、この地まで逃れ来て、あなたの根方で傷を癒して行った、などとはちょっと想像逞しくすぎますか。  
日清戦争日露戦争、とりわけ太平洋戦争では、春日神社の境内での出征兵士を送る壮行会で、国松むらからも若者を何人も日の丸の旗を振って送り出し、むらのみんなで君が代歌って武運長久を祈ったが、ふたたびむらに帰った来なかった人も随分おられるのは当然知っておられるでしょう。米機があなたの上を長々と飛行機雲を引きながら、青い空を横切るのを見ましたよね。
いつの世にも、こころを通じ合った若い二人が、神社の境内やあなたに寄り添いながら人知れず逢瀬を重ね語り合うのを聞いたのではありませんか。
今年も蝉は例年通りの時雨を降らせましたか。年々夏は暑くなり生き辛くなっています。
戦争は真っ平だとの願いから、戦争を放棄したわが国ですが、またぞろ戦争ができる国にしようとの環境整備が急がれています。四百年余りも生きて来られたあなただからこそ、平和への想いはずっしりと重いものがありましょう。
使用されれば、地球が幾つあっても足りないくらいの核兵器が、搭載されている地球に生を受けたわたしたち。いかなる兵器も使用が前提で作られたものである以上、核兵器も例外ではなく、それらを使おうとする勢力以上の使用させない力を急速に増やし蓄える必要がありますよね。
国松むら春日神社の椎の木よ。
この先、住みやすく安穏な世の中が一日も長く続き、
あなたが五百年、六百年と長寿を全うされんことを、
決して核の冬到来などないことを切望しています。
平池むらの爺の願いです。