★詩集に挿入する挿絵を描く

 今秋末発行予定の、従兄弟の詩人・井上俊夫氏(H氏賞受賞詩人)依頼の詩集の挿絵を一昨日から描き始る。先ず、イラクの戦争を詠った章に挿入する挿絵に取りかかり、昨日で完成した。ファックスで俊夫兄に見てもらったところ、おおむね気に入ってもらえたようで安堵した。
 それは、星条旗に包まれた三つの棺とその前に星条旗を立てられた戦死した米兵の軍靴とを一つの図にしたものである。セピア一色で印刷してもらうことを想定して、墨一色で濃淡をつけて描き上げた。
 今日は、中国へ従軍した兄が出征時に、近隣の人や近親者から寄せ書きしてもらった日の丸の旗を描き始めた。俊夫兄の父とその弟であるわたしの父の名は、是非書いておいてほしいとのことである。それに、青年団と処女会の銘もと。わたしよりひと世代前の若者があの時代をどんな風に生きたのか。兄たちの、わたしなどには計り知れない青春の日々のあれこれが重く胸の内に渦巻いていることであろうか。そんな時代を中国従軍兵士として過酷な経験をして通り過ぎて今、八十六歳、あの時を振り返る数々の歌、それらの詩に負けまいと気負い立つのではなく(依頼を受けたときには、そんな気持ちが濃厚であった)あくまでも裏方に徹して、内から詩集を支える気持ちで描かねばなるまいと思っている。