アトリエの刻
午後のアトリエへは
直(じか)に陽は差し込まないが
セピア色で塗り込める
アクリル樹脂絵具を
カンバスの上でそうすることで
希望や思想・信条に昇華できるとでもいうように
日がな一日
百号のカンバスを
面相筆の点描で埋め続けている
この歳で
あなたが知っている俺ではない俺に
執拗に変樣すべく
繪を描いている
描き続けている
東の空に月が昇った夜半過ぎ
アトリエに差し込む折れ曲がった
明かりのなかで唸りながら
カンバスの前にしゃがみ込んで
点描の数を数え上げている
見覚えのある奴がいる
二万七千三百九十四、二万七千三百九十五、
二万七千三百・・・・・
俺でない俺に
変樣しきれないでいる
俺かもしれない
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