★床屋で政談

 年末は混んでいるだろうし、正月とはいえどこにも行く予定もないのでと、いつも行き付けの理髪店に今日出向きました。案の定先客はなく、店主は手持ちぶさたでガラスドア越しに表を眺めているところでした。
 ところで店主の話だと、この頃は年末というても以前のように混むということはあらしまへん、むしろすいていまっせ、ということでした。若い男の子でも、美容院へいきやるもんが増えてるし、昔みたいに、正月を迎えるさかいと、暮れに散髪しとかなあかんと考えるもんは、少のうなったんとちゃいまっか、と。そういえば、わたしもそのひとりでした。
 普段は、先客が散髪中だったり、あとに客が来たりと、店主と二人きりになるときがあまりありません。店主のお人柄でしょう、転宅しても遠くからでも、また永年来られている人が多くおられます。珍しく今日は、わたしひとりでした。
 で、相客がどんな人か判らないし、店主もいろいろなお客の手前、うかつなことはいえまいだろうと、いつもは当たり障りのない話をしているのですが、今日は、どちらからというわけでのなく、床屋政談になりました。
 私「政権交代したから、ちょっとはようなるんかと思ったけど、期待に反していつまでももたもたしとって、一向にすきっりしまへんな」
 店主「小沢さんが、やっぱりガンでっせ。選挙でみんなが、民主党にいれ過ぎたんや。民主党がええさかい、民主党やないとあかん、とちゃいまんねん。自民党公明党があかんよって、それやったらしょうがない、民主党にというのがあの票になったんでしゃろ。それはそれで、自信を持ってマニフェスト通りやりゃええのに、何もかもぶれだして、・・・・・(いままでの自民党と)同じように、政治と金でまた躓きそうでんがな。困っもんでんな」
 いつになく、饒舌に政治について話し合うことになりました。店主は、わたしより一回りぐらい年下だと思います。
 いろいろあって、
 私「・・・・・。いつも正論やなと思うのは、共産党やおまへんか。政党助成金にしても、いままで一度ももろたことないらしいし、第一税金から党の活動資金をもらうなんて、・・・・・。共産党が取らんその分までその他の党で山分けしているそうでっせ。・・・・・」
 店主「そら知らなんだな。しかし、やるというんやから、もろたらええんやんか、困ってるんやろから。・・・・でも、力が弱い、(議員の)数が少ない。それに、頑固過ぎる、もっと、一緒にやれることを見つけて、いっしょにやらな。いつまでも小さかったら、何もでけへん、・・・・・」
ここで、隣家の人が来訪してきて、床屋政談は中止、またの機会となりました。
 過日のわたしの個展に、この理髪店のご夫婦も観に来ていただきました。
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